ソーシャル プレーヤーへの10の質問

紛争・災害 被害者支援のために

特定非営利活動法人ジェン(JEN)
理事・事務局長 木山 啓子
質問1:どのような社会の問題を解決しようとして活動を始めたのですか?
紛争や災害で厳しい暮らしを強いられている人々が、支援を必要としない人生を取り戻すために、何かをしたいと思ったのが初めです。命の重さはみんな同じはずなのに、どうしてこんなにも厳しい生活を強いられるのか、その状況を変えるために自分のできることを精一杯やりたいと思いました。小さい頃から不公平が嫌いだったせいかも知れません。 支援の現場は画一的に捉えられがちですが、一人一人ニーズも違えば、地域によって全く支援が行き届いていなかったり、文化が違ったりと、まちまちです。こうした多様なニーズに的確且つ効率的に応えるために、調査の上で支援をします。 『難民』や『被災者』といった言葉で一括りにしてしまうと途端に個性が見えなくなってしまう人々を、一人一人の人間として等身大で付き合いたいという考えが、私の活動の原点となっています。ですから、一人一人の人間がその生命を十全に生きられない状況を変えたいと願っています。 こうした活動を続ける中で新たな課題が出てきました。支援活動を対症療法だとすると、体質改善をする必要があるのではないかということです。病気にならない体、つまり、紛争が起きない世界、災害が起きても厳しい状況にならない社会を作ることが大切だと。 ですから、出発点では少しでも多くの人々に支援が行き届くようにすることだけを考えていたのですが、今では変えてゆきたいことがもう一つ出てきました。それは、少しでも多くの人に伝えて仲間を増やすことです。この両方が出来るようになるためにJENという組織も進化を続けなければなりません。今は、JENという組織の現場の責任者として、組織改革も推進しています。
質問2:解決するための、具体的にどのような活動をされていますか?
アフガニスタン、イラク、スリランカ、パキスタン、南スーダンの5カ国と新潟での二度の震災の被災者の方々を支援しています。学校の再建、水と衛生、職業訓練、など、自立を支える様々な事業で支援しています。 仲間を増やすためには、伝え方を工夫しています。『紛争』『国際協力』などと言うと、遠い世界のことの様に思われてしまいます。身近な問題であると感じてもらえるように、等身大の生活を伝える様にしています。 また、自分も何かしたいと思った人が参加しやすい活動を提供することも心がけています。誰でも初めの一歩は億劫なのですが、小さなことでもやってみると、支援の向こうにいる人が見えてきます。見えたら続ける気持ちになれるのです。
質問3:活動の支援を希望する場合は、具体的にどのようなアクションを取れば良いですか?
JENの5つのお願いというのがあります。その5つとは『知って下さい』『行動して下さい』『継続して下さい』『忘れないで下さい』『伝えて下さい』です。のどの一つをとっても立派な国際貢献です。『行動』の中にもたくさんのやり方があります。中古書を寄付したり、チャリティコンサートを開いたり、実際にボランティアとして活動することも出来ます。昔からよく知られている『募金』という支援も大いに活用されています。
質問4:活動の最近のニュースはありますか?(メディア露出やイベント開催他、どんなことでも結構です)
3年前、中越震災が起き、JENは支援活動を始めました。震災は過疎化に拍車をかけるので、過疎が進まない様に、JENが支援を続けている池谷という集落が十日町市にあります。今年7月の中越沖震災にも呼応してJENは柏崎市西山町に出動しました。が、あちこち手を広げられないので、西山町では緊急支援だけで終わりにすることにしました。その代わり、JENが支援してきた池谷集落の人々が今後の西山町を応援してくれることになりました。 10月14日(日)には、その池谷集落の人々が初めて西山町を訪れ、励ます会を行います。地元が地元を支える、自立支援の構図です。これを、地元の外にいる人々にも支えて頂きたいと思っています。是非皆さんご参加下さい!!
質問5:動はいつ、どのようにスタートしたのですか?
1994年、6つのNGOの合同プロジェクトとして始まりました。半年という期限付きの旧ユーゴスラビアの難民・避難民支援事業でした。半年の活動を終えようとした時、契約していた国連機関や難民の方々からもやめないでと言って頂いたのが始まりです。それから既に足かけ14年が経ちました。 一つだけ悔やまれるのは、初期のJENは合同団体だったため、日本に本部がなかったことです。やっと98年に事務局が出来ましたが、本格的に広報活動を始めたのは2001年頃からです。広報の歴史が未だ浅く、まだまだ力が足りないのが悩みです。
質問6:活動をしていて今までで一番嬉しかったことは何ですか?
嬉しかったことは辛い思い出でもあります。私たちの活動が喜ばれるということは、その方々の状況が厳しいということだからです。 例えば難民の方が、JENの活動に参加している間だけは『難民の一人』ではなく『一人の人間』として扱ってもらえる、と言って下さった時は、本当に嬉しかったです。同時に、この部屋を出て行けば、その方は再び『難民の一人』になってしまう。その状況を思うととても辛かったです。 また、この話を日本でお伝えしたら、涙しながら聞いて下さった人がありました。この時は、判ってもらえたということが嬉しかったです。
質問7:活動をしていて今までで一番苦労したことは何ですか?
あり過ぎて、とても一番は決められません。ただ、支援活動を実施する上での問題は、殆ど解決可能な問題です。それよりも、日本で仲間を増やそうとして、中々判ってもらえないことの方が大きな苦労です。知ってもらって初めて支援をお預かりできるのに、興味を持ってもらえなければ、何も進みません。
質問8:尊敬する方はいらっしゃいますか? 尊敬する理由は?
たくさんいます。現地で出会った難民や被災者の方々やJENを支えて下さる方々です。被災者の方々は、厳しい状況の中でもくじけず前向きに力強く努力を続ける。困難の中でも家族だけでなく見知らぬ人にも温かい。戦争中になけなしの現金をはたいて闇市で買ったコーヒーを道行く人々にもふるまった、といった話にも感動します。JENを支援して下さる方の中にも、『人が嫌がる仕事が私の仕事』とおっしゃる方がいます。そんな一人一人を心から尊敬しています。見知らぬ人から同僚に至るまで、市井の普通の人々が私の先生です。
質問9:NPO の運営に参考となるWebサイト、雑誌、書籍、TV、イベントなどありましたら、お聞かせください。
最近勉強を始めた中国古典、特に老子の思想に惹かれています。『人を究極に自由にする』のが老子の思想と聞きました。人は自由にのびのびとしている時に、最も力が発揮できると思います。それが、NPOの運営に欠かせない環境だと信じています。老子の思想が書かれている書籍がオススメです。
質問10:10年後の展望をお聞かせください。
JENの支援を通して、極限的な状況で暮らす人々の生き様に触れて『誰かの役に立ちたい』という気持ちは、人間の本能にプログラムされているということを知りました。ですから10年後には、JENが今よりもっと多くの方の賛同を得て、大きな力となって世界をより平和で幸せなところに変えてゆくために加速度的に力を発揮していることでしょう。そうなるために、今日、今、この時を大切にしてゆきたいと思っています。
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