一貫したメッセージ
世界的建築家 安藤忠雄氏のデビュー当初から今後予定されているプロジェクトまで国内・国外、時系列に分けて紹介する安藤忠雄建築展[挑戦―原点から―]に行ってきました。稀代の建築家が一貫して伝えてきたメッセージは明白です。自然への畏敬の念と共生の必要性。そして文化の継承。まさに大量消費社会へのアンチテーゼを、建築物という日常的、社会的にもっとも身近な存在を通して発信し続けています。
「足るを知る」ということ
今回の建築展で注目を集めたのが、デビュー作であり代表作ともいえる「住吉の長屋」の原寸大模型。手狭な住まいの中央に敷地の1/3を占める中庭をつくることにより、雨の日には傘をさしてトイレへ行かなければなりません。30年以上も前に建てられ、すでに伝説となったこの住居は、発表当初、建築家のエゴと批判されました。けれども、先達が作り上げた歴史ある建物を取り壊し、経済発展の名のもとにスクラップ&ビルドを繰り返す都市。安易な利便性を追求するあまり、無秩序に森林伐採し、何百年も生き続けた自然を破壊し、途上国の人々から資源を奪う都市の暮らしこそ、エゴの上に成り立っているといえるのではないでしょうか。
想像以上に小さい原寸大模型は、現代人が忘れてしまった「足るを知る」という言葉を喚起させます。太陽の暖かさを、風の冷たさを感じる空間で暮らすことにより、私たちは自然を支配するのではなく、その一部でしかないということを日々思い知らされるのです。大阪の下町という特殊な環境の中で生まれた長屋様式を保持したことで、代々育まれた人々の交流が分断されることなく今も続いています。
現在、中東から欧米諸国で氏が手がける都市プロジェクトは「住吉の長屋」とは比べ物にならないほど大きい。しかし、その根幹にあるメッセージは決してぶれることがありません。最近では、東京湾のごみ埋め立て地に植樹する「海の森プロジェクト」の事業委員長など、建築家という立場から環境保全の重要性を訴え、さらに発展的な活動をされています。
21世紀に必要な思想
歴史的経済不況に陥り、資源の枯渇にあえぐ21世紀グローバル社会において、産業革命以降、発展の道を突き進んできた経済至上主義から脱却するためのパラダイムシフトが喫緊の課題となっています。今回の建築展は、単なる模型や写真の展示にとどまらず、一刻を争う地球温暖化対策、資源をめぐる紛争の終結、貧困拡大といった問題解決に必要な根本的思想が、具体的な形をもって提示されています。
氏の本拠地、大阪での開催に合わせ、多数建設された駅や、美術館、宗教施設などの公共施設に足を延ばし、既成概念や形骸化したシステムに屈することなくチャレンジし続けるスピリットを実際に体感してみる。そんな旅行もおすすめです!
安藤忠雄 建築展[挑戦―原点から―]
会場=TOTOテクニカルセンター大阪
会期=2009年 2月11日(水)~ 3月7日(土)
開館時間=10:00-18:00 (金曜日のみ19:00まで、最終日は16:00まで)
入場料=無料
2008年に東京で開催された際は、期間中、安藤忠雄氏本人によるギャラリートークが数十回にわたり開催されました。時代の寵児の精神と勢いを肌で感じるエキサイティングで貴重な時間でした。大阪でも開催されるかも?
By Social concierge 'Satoko SAKAI'
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安藤忠雄建築展 [挑戦-原点から-]
一貫したメッセージ
世界的建築家 安藤忠雄氏のデビュー当初から今後予定されているプロジェクトまで国内・国外、時系列に分けて紹介する安藤忠雄建築展[挑戦―原点から―]に行ってきました。稀代の建築家が一貫して伝えてきたメッセージは明白です。自然への畏敬の念と共生の必要性。そして文化の継承。まさに大量消費社会へのアンチテーゼを、建築物という日常的、社会的にもっとも身近な存在を通して発信し続けています。
「足るを知る」ということ
今回の建築展で注目を集めたのが、デビュー作であり代表作ともいえる「住吉の長屋」の原寸大模型。手狭な住まいの中央に敷地の1/3を占める中庭をつくることにより、雨の日には傘をさしてトイレへ行かなければなりません。30年以上も前に建てられ、すでに伝説となったこの住居は、発表当初、建築家のエゴと批判されました。けれども、先達が作り上げた歴史ある建物を取り壊し、経済発展の名のもとにスクラップ&ビルドを繰り返す都市。安易な利便性を追求するあまり、無秩序に森林伐採し、何百年も生き続けた自然を破壊し、途上国の人々から資源を奪う都市の暮らしこそ、エゴの上に成り立っているといえるのではないでしょうか。
想像以上に小さい原寸大模型は、現代人が忘れてしまった「足るを知る」という言葉を喚起させます。太陽の暖かさを、風の冷たさを感じる空間で暮らすことにより、私たちは自然を支配するのではなく、その一部でしかないということを日々思い知らされるのです。大阪の下町という特殊な環境の中で生まれた長屋様式を保持したことで、代々育まれた人々の交流が分断されることなく今も続いています。
現在、中東から欧米諸国で氏が手がける都市プロジェクトは「住吉の長屋」とは比べ物にならないほど大きい。しかし、その根幹にあるメッセージは決してぶれることがありません。最近では、東京湾のごみ埋め立て地に植樹する「海の森プロジェクト」の事業委員長など、建築家という立場から環境保全の重要性を訴え、さらに発展的な活動をされています。
21世紀に必要な思想
歴史的経済不況に陥り、資源の枯渇にあえぐ21世紀グローバル社会において、産業革命以降、発展の道を突き進んできた経済至上主義から脱却するためのパラダイムシフトが喫緊の課題となっています。今回の建築展は、単なる模型や写真の展示にとどまらず、一刻を争う地球温暖化対策、資源をめぐる紛争の終結、貧困拡大といった問題解決に必要な根本的思想が、具体的な形をもって提示されています。
氏の本拠地、大阪での開催に合わせ、多数建設された駅や、美術館、宗教施設などの公共施設に足を延ばし、既成概念や形骸化したシステムに屈することなくチャレンジし続けるスピリットを実際に体感してみる。そんな旅行もおすすめです!
安藤忠雄 建築展[挑戦―原点から―]
会場=TOTOテクニカルセンター大阪
会期=2009年 2月11日(水)~ 3月7日(土)
開館時間=10:00-18:00 (金曜日のみ19:00まで、最終日は16:00まで)
入場料=無料
2008年に東京で開催された際は、期間中、安藤忠雄氏本人によるギャラリートークが数十回にわたり開催されました。時代の寵児の精神と勢いを肌で感じるエキサイティングで貴重な時間でした。大阪でも開催されるかも?
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